ナイトプランナー

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「うちは引き継ぎが大事だし、ブラックだけど?」
『大丈夫です』
面接官は私を屋上に案内した。
「背景を濃く、星は明るすぎる」
空にいる黒子に指示を飛ばす。本物だ。
『夜のインクが薄いですね』
「わかる?」
この仕事は夜をつくる。
七夕の空、中秋の名月、冬のオリオン座……そのすべてを演出している。
夜空が大好きな私が憧れていた会社だ。
「今日は一大イベント。手伝ってもらうよ」
彼は指揮棒を両手に持った。
振ると、その軌跡を星が流れた。彼が一回転すれば上空に円を描き、波打てばウェーブ。一点集中し、線を引くと太く。
圧巻の流星群だ。
「やってみな」
緊張でゆっくり引いた私の線を、ノロノロと星が流れる。
「サッと引くのがコツね」
少しずつだけど、綺麗な星を流せるようになった。
舞台が終わると、彼は黒電話で、朝へ引き継ぎを始めた。
「ようこそ我が社へ。素敵な夜をつくろう。同じ夜はひとつもないからね」
ファンタジー
公開:18/11/01 19:46

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
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ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

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