裏の顔は寿司屋

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「今日はこれで、やってくれんかね」老人はアタッシュケースを開いた。「大間のマグロじゃ。今日はこれでお願いしたい」

「分かりました」と調理白衣の男はマグロのブロックをまな板にのせた。そして刺身包丁を血合い部分に当てたその時

すみませーん

「来客だ、静かに」

男は白衣を黒スーツに着替え、サングラスをかけ、明かりをつけて入口へ向った。

「へいいらっしゃい! 何にしましょ!」
「すみません、今度は課長2人と部長1人。写真はこれです」
「3人ですね。1人3万円なので、計9万円になります!」
「明日中にお願いできますか」
「わかりました! 毎度おおきに!」


危なかった、まだ下げていなかったか……

男は『殺し屋処 いつでもやります』と書かれた暖簾を下げ、鍵を締めて明かりを消した。そして再び調理服に着替え、老人のいる隠しカウンターへと戻って、大トロ一貫を音の立てぬよう静かに握り始めた。
ファンタジー
公開:18/10/31 22:16
更新:18/10/31 23:27
働きたい会社

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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