ハロウィンを楽しみに渋谷にやってきただけなのに…

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「ハッピーハロウィン!」
誰もがそう口にする。今日はどれだけ騒いでも怖くない。
だって、こんなにも多くの人が騒いでいるんだ。むしろ騒がない方がおかしい。
酒を飲み、普段なら絶対にやらないような行動に出る。皆がそれを笑ってくれる。
ああ!なんて素晴らしい夜なんだ!
この夜を知ってしまえば、もう日常に戻りたくない!
「なら、貴方の日常を私に下さい」
そう言ってくる人に私は「こんな日常でよければどうぞ!」と答えた。
するとその人は私に体当たりをかますと、どこかにいなくなってしまった。
何だったんだあれは?
それからも私は騒ぎ、楽しみ、夜が明ける前に家に帰った。

家には私が帰りついていた。
どういうこと?混乱する私に私は鏡を突きつけた。
そこには何も映っていない。
「貴方の日常、確かに頂戴しました。今は私が貴方です」
私はあの時、私を奪われた。
私は今、渋谷で次のハロウィンが来るのを待っている。
公開:18/10/31 18:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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