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オレンジのカーディガンが似合う彼女はいつも同じ電車にいて、同じ駅で降りる。
時々目が合う。お互いにスッと目線をそらせるけど、彼女も僕の存在に気付いていると感じていた。
ある日、電車を降りて改札に向かう途中、肩にリュックを引っ掛けた男が駆け足で階段を登ってきた。
危ないなぁと思ってすれ違った直後、リュックが彼女にぶつかった。
男と彼女はあっと振り返って見合ったが、よほど急いでいたのかリュックの男はそのまま階段を駆け上がり、僕たちが乗っていた電車に駆け込んだ。閉まりかかっていた扉は男を覆い隠した。
階段に散らばった彼女の持ち物を、多くの人が器用に避けて行き交う。
僕は手の届く限り拾い集め、焦る彼女に手渡した。
「ありがとう」僕に目を合わせて彼女が「ええと」と時間をくれた。今だ!
「僕は、タカヤマって言います。高い低いの高いに、山と川の山で」
「高山さん」僕を認識した彼女が、僕を呼んでくれた。
時々目が合う。お互いにスッと目線をそらせるけど、彼女も僕の存在に気付いていると感じていた。
ある日、電車を降りて改札に向かう途中、肩にリュックを引っ掛けた男が駆け足で階段を登ってきた。
危ないなぁと思ってすれ違った直後、リュックが彼女にぶつかった。
男と彼女はあっと振り返って見合ったが、よほど急いでいたのかリュックの男はそのまま階段を駆け上がり、僕たちが乗っていた電車に駆け込んだ。閉まりかかっていた扉は男を覆い隠した。
階段に散らばった彼女の持ち物を、多くの人が器用に避けて行き交う。
僕は手の届く限り拾い集め、焦る彼女に手渡した。
「ありがとう」僕に目を合わせて彼女が「ええと」と時間をくれた。今だ!
「僕は、タカヤマって言います。高い低いの高いに、山と川の山で」
「高山さん」僕を認識した彼女が、僕を呼んでくれた。
青春
公開:18/11/01 00:44
更新:18/11/01 00:49
更新:18/11/01 00:49
ショートストーリー、短編小説を書いています。
noteでも作品紹介しています。
https://note.com/ksw
テーマは「本」と「旅」です。
2019年3月、ショートショートコンテスト「家族」に応募した『身寄り』がベルモニー賞を受賞しました。(旧名義)
2019年12月、渋谷TSUTAYAショートショートコンテストに応募した『スミレ』が優秀賞を受賞しました。
2020年3月、ショートショートコンテスト「節目」に応募した『誕生会』がベルモニー賞を受賞しました。
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