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僕は、小さい時からとてももてた。
男女は関係なく、誰からも声を掛けられたし、羨望のまなざしを一身に受けて育った。
沢山の人から褒められたし、僕を羨ましがる言葉も数え切れないほど聞いてきた。

昔から耳が少し難聴気味らしく、人がいるところでは常に補聴器を付けていたけど、それ以外は何も支障はなかった。
らしく、というのは両親から聞いた話だからであって、自分と周りの人の聞こえ方の違いについては分からない。

ある日、両親から話があると居間に呼び出された。
突然なんだが、と父親が切り出した。

「お前が使っているその補聴器だが、実は補聴器ではないんだ」

どういうことだろう。

「その道具は、周りの人たちの話している内容が、すべて反対になって聞こえる道具なんだ」

反対になって聞こえる?

つまり。
あのときの、かっこいい。の声は。

何でもできて凄いなと言われたあの日は。

……今までの声は。
その他
公開:18/11/01 00:34

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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