10. 余韻泥棒

29
69

余韻の残る映画館。
『大変だ!館内に余韻泥棒が!』
係員が叫んだ。
余韻泥棒?ぶち壊し屋ね。余韻が台無し……あ。
『余韻はいただいた』
係員に変装した泥棒は消えた。

泥棒は少女に会いにきた。
少女の両親は彼女を部屋に閉じ込め、自由を与えた。泥棒は不思議なお話をよくきかせた。
「素敵ね。何もないや、私」
突然、泥棒は彼女のへそに鍵を差した。
『開け、ごま』
鍵を回すと、部屋の線カラー色々と飛び出した。
おシロでチャチャチャを踊るブルードック。いダイダイばぁと赤ん坊をあやすパープルのパプリカ。金海を泳ぐよりどりミドリの魚群。藍を吟う銀遊詩人。
『これは君の世界さ』
「盗むの?」
『まだ何も始まっていない。だから、盗めない』
少女は笑った。
『余韻を盗むには、種を蒔かないと。今から、ある村にいく。一緒にくるかい?』
少女は頷き、手を握る。

さぁ、飛ぶよ。

ワクワクする世界へ

ようこそ泥!
その他
公開:18/10/30 17:26

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7

・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか) 
https://amzn.asia/d/iW14MdM

ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容