精密検査

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「今度はどうだい」
「7.3±0.4近辺で平坦です」
「静かになったね」
「はい。かなり強力な発作でした」
「で、波の方は?」
「こちらは常に安定だ」
「おかしいじゃないか。それじゃ今の発作は、この脳の働きによらないとでもいうのかね」
「認知心理学テストをしてみないと何とも言えませんが、おそらく、クランケ自身が構築してきたニューロンネット束とは別系統の束が存在するのでしょう」
「断層面は?」
「ここです。なかなか厄介な場所です」
「なんだね、この影は」
「何とも… 血栓ではありません。類似物を挙げるとするならば、昨年の3月、訓練中の一個中隊が目撃し、幕僚幹部会が召集された、UFOの…」
「何を馬鹿な」
「遅くなった。悪いが試させてもらうよ」
「泌尿器科まで! たいしたもんだね」
「やらせてやりゃいいさ。滅多にない代物だ」
「違いないや」
「あはははははははははあはははははははあははははは」
その他
公開:18/10/30 15:57

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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