おいしい月

23
19

保育園の帰り道、僕は迎えに来た母ちゃんの自転車の後ろに乗って、夜空を見上げた。
「月が美味しそうだね~、アイスみたいだ」
母ちゃんが言う。
「違うよ!ホットケーキだよ」
「うーん、卵焼きにも見えてきたなぁ」
「違うってば、ゆでたまごだよ」
「お月さん、食べてみたいねぇ」

次の日僕らは休みだった。母ちゃんはドンキまで車を走らせた。
「何のお買い物?」
「月だよ」
母ちゃんは楽しそうに笑う。
僕らは買い物かごに、アイスクリームとホットケーキの素と卵と牛乳、チーズを入れて、レジに並んだ。
「今日は月を食べよう」
母ちゃんはニカッと笑った!そうか!僕は意味がわかってニカッと笑い返す。
そうして、僕らは一緒にホットケーキを焼いてアイスを乗せて、卵にはチーズをたっぷりいれて真ん丸のオムレツにして、ドンキで買った月をたらふく食べたんだ。

あぁもう、僕のお腹はお月さんみたいにまん丸だぁ。
その他
公開:18/10/30 14:52
更新:18/10/30 17:28
スクー ドン・キホーテで買った月

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容