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「…お仕舞いにしようと思ってるんだ」
わかっていたよ。ボスとは戦友みたいなもんだからな。
「沢山の国を回ってきたよな…」
価値観が変わり、物流が変わり、俺達の業界も変わった。
今や世界中のどこにいてもボタン一つで物が届く時代。俺達が敵う訳がない。

ボスがトレードマークの髭を剃った時そんな予感はしていたよ。もう終わりだなって。
髭を撫でようとした左手が空をきって、ボスは寂しそうに笑う。
薪が燃えるパチパチという音だけが部屋に響く。
みな、しんと静まり返っていた。

その時だった。あいつが呑気にやってきた。
「ルドルフ!何してたんだ!こんな時に」
やつの後ろからロボットが出てきて言った。
「今日からボクがサンタです」

まさか、サンタがAIに取って変わっちまうなんて、トナカイの俺でも思わなかったよ。
今のサンタは「丸っこいロボットでお腹のポケットからプレゼントをくれる」ってイメージなんだぜ。
ファンタジー
公開:18/10/31 17:08
更新:18/11/07 17:27

サンタクロースの弟子

サンタクロースの弟子はクリスマス生まれ。
プレゼント作りの合間にのんびり物書きをしています。

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