十三夜のお月さん

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「こんばんは」
今夜もお月さんが森を優しく照らします。
栗鼠(リス)のお母さんは子リスを集めて話をしました。
「旧暦9月の十三夜は『栗名月』と言って、栗をお供えするの。私達はその栗をお月さんのかわりに拾ってくるのよ。明日は十三夜、皆で栗拾いに行きましょう」
栗だって!小リスたちはワクワクしました。どんぐりも好きだけど、あの黄金色をした甘い実は大好物です。くりねずみと書くぐらいなんですから。
次の日は栗名月のためにたくさんの栗を拾いました。それはとってもおいしそうな栗で、子リスは我慢できなくて、思わずちょっとずつ齧ってしまいました。
「まあ!誰かしら栗を齧った悪い子は」
「ごめんなさい」
一匹の子リスが怖々手を上げて名乗り出ると、ゆっくりと顔出したお月さんが言いました。
「いいんだよ。ほら、私の顔も欠けている。趣があって良いだろう?」
十三夜のお月さんは満月より少しかけた顔で笑ったのでした。
その他
公開:18/10/31 16:21
スクー 月に代わって栗拾い

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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