127. 犯人は・・・。

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私は若手の看護師たちから『ナイチンゲールみたいな人』と呼ばれている。勤続31年で看護師長をやっているのだが、自ら進んで見廻りや夜勤をこなし、ガン患者の緩和ケアにも積極的に取り組んでいるからだろうか。そんなある日あの事件が起こった。モルヒネを投与した患者からシャンプーのような匂いがすると、ある看護師が言い出したのだ。モルヒネは本来無臭なのでそんなはずはない。ここ最近薬剤庫の整頓をしたのは私だったので疑いの目は真っ先にこちらに向いた。でも犯人は私であって私ではない。
実はシャンプーの香りのするモルヒネを薬剤庫に置いたのは私だ。院長の指示で。院長はもう本当に最期が近づいている末期ガン患者にだけこの特注のモルヒネを投与することに決めたのだ。その香りで癒されることによって痛みを忘れ少しでも笑顔になってもらう為に。

看護師たちにはこれから話すが、まだ日本では未認可の薬剤の為院内だけの極秘事項である。
ミステリー・推理
公開:18/10/29 21:00
更新:18/10/29 18:43
スクー シャンプーの匂いがするモルヒネ 犯人になりがちなナイチンゲール

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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