ヒルジン

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ヒルジンは、ヒルが吸血する際に出す、血液凝固を阻止する液体である。

僕がそのヒルジン。ヒルの食欲に翻弄されながら獲物の体内に入って血液を流出させ、後々獲物に痒みを与えた後に消える存在。そんな訳で今日はある人間の体内に入り、ゆっくり消えるはずだった。しかしこの人間は無鉄砲なのか、どんどん山に分け入っていく。

そしてあろうことか、僕が既にいる場所に百足が噛みついてきた。百足の毒が僕と混ざり合う。2度あることは3度あり、さらにそこに正体不明の何かが噛みつき、僕にも痺れるような毒が回った。

まぁ見てな、と最後に入ってきた毒は言った。

僕らは体内で融合し、宿主の人間は苦しみもがき、僕は内から傍観するしかなかった。

ふと変な感じ。あぁ、縦に行き来してた血液が横に流れ始めたんだ。ん?この人間…

最後の毒のせいか?人間は完璧に軟体化し、全く別の生物になった。そしてその体は、僕たちが乗っ取った。
その他
公開:18/10/30 13:13
更新:18/11/18 00:02
噛まれた人間は その何かを求めて探してた 学者さんのイメージです

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

104.がおー

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