適当な同僚

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同期のこいつが秘密を明かしたのは、俺達の歓迎会のときだった。ようするに、初対面のときだ。

「ここだけの話。俺、不老不死なんよ。ホンマやで!えらく長く生きてんねんで。あ、お姉ちゃん。ビール追加」

サブいな、こいつ。

以来、このネタでいじるのは、飲み会の定番となった。
いつだったか年齢を聞いてみた。

「卑弥呼っていつ死んだっけ?」

質問で返すな、と俺は返した。

自分の設定だけでなく、仕事もいい加減な奴だった。クビにならなかったのは、部長が面白がって、こいつを宴会部長に指名したからに違いない。

「この性格は死んでも治らんな。いや死ねんけど!」

入社から30余年過ぎ、俺達は定年退社を迎えた。
嫁に先立たれ、子供もいない俺は、この先の長い未来に絶望していた。
そんな俺を見てこいつは言った。

「ほんとおもろいよな、お前ら。退屈せんよ」

昔と同じ下品な顔に、俺は変わらず腹が立つんだ。
ファンタジー
公開:18/10/30 08:51
更新:18/10/30 12:06

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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