近所づきあい

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玄関のチャイムがなった。
ドアを開けると火星人が立っていた。

「スープ、作りすぎたんでどうぞ」

彼か彼女かわからないが、そう言って鍋を差し出した。

『あ、ありがとうございます』
「鍋、今度でいいから」

そう述べ、火星人はマンションの下に停めた宇宙船で帰っていった。

俺はラッキーだと思った。
ちょうど腹が減っていてコンビニに行こうと思っていたけれど、金欠だったからだ。
それに、火星のスープなんて初めてでワクワクする。
だが、鍋を開けると何も入っていなかった。

怪訝に思った俺は隈無く鍋を見た。
すると何かが淵に焦げ付いていた。

ははーん

温度差で、持ってくる途中に蒸発したのか。

無念……。



チン。

電子レンジが鳴った。

おととい貰った金星コロッケの解凍がやっと終わったのだ。

これで食料にありつける。

やはり持つべきものは冥王星の親戚より、火星や金星の隣人だな。
ファンタジー
公開:18/10/28 21:20
更新:18/10/29 00:07

西木( Tokyo/Tokushima )

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最近のSSGのレベルの高さに驚愕しております。

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