引喜潮~ひきしお~〔塩酒〕

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「ここから少し行ったところに、おちょこ岩ってあるでしょ」
話をしているのは、出張の最終日の夜に立ち寄った居酒屋の店主だ。
この店で頼んだ酒、引喜潮(ひきしお)についての説明をしてくれている。
「形がおちょこみたいでそんな名前が付いたんだけど、たまにね、引き潮の時だけあの岩のくぼみに海水が溜まるんだよ。で、その海水を使って作られてるのがこの酒」
一口飲む。
なかなかうまい。それを伝えると、店主は、ほほう。と嬉しそうに続けた。
「でね、この地域の地脈?とかが原因で、採れる海水が40度くらいに温められてて。で、できた酒もそれくらいの温度にすると一番うまくなるんだよ」
「はあ、だからぬる燗なんですね……確かにこれくらいが合ってる気がする」
気がするってなにと笑う店主をちらりと見てからもう一口。

あれ?中身が無くなってる。

「ああ、早めに飲まないといけないよ。酒が潮みたいに引いてっちゃうから」
その他
公開:18/10/28 19:18
スク― 引き潮ぬる燗

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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