土鍋（つちなべ）

鍋の季節がやってきた。今年は「土鍋（つちなべ）」が流行りだそうだ。深海からとった泥やカスピ海の泥などを出汁で溶かし、具材を煮込む。そのカーキ色の汁は食欲を減退させるが、効能を聞くと「食べてみるか」という気になる。
我が部では小百合が土鍋（つちなべ）にはまっている。彼女が幹事の飲み会だと必ず土鍋（つちなべ）が出てくる。それを、「ミネラルたっぷりでお肌に良いんですよ」と言いながらいそいそとみんなの小鉢に取り分けている。
小百合の土鍋（つちなべ）へのはまり方は半端なかった。

ある日小百合が、おでこのあたりに違和感があると言う。前髪を上げて見てみると、何かが生えかかっている。
これも土鍋（つちなべ）の効能じゃないの？始めは笑っていたが、日に日に大きくなるソレにみんなの目が釘付けだ。どうやらアンコウの提灯のようなものが生えてきたらしい。

深海泥の土鍋（つちなべ）ばっかり食べてたからねぇ。