雲に覆われた国

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年中雲に覆われている国があった。それなのに雨も降らない。日照り不足と水不足により農作物が全く育たず、国は廃れていた。
そんな国に縁結びの神と福の神が協力し、神社を建てた。しかし、その効果もなく国は相変わらず曇った日が続いている。
「わしの力でもダメか」福の神が嘆く。
「この曇り空の原因がわかればなぁ」
その呟きに、縁結びの神がポンと手のひらを叩いた。
「ひょっとすると……」
そう言うと縁結びの神が、とある用紙を取り揃え始めた。それを見た福の神が驚く。
「おい、それ離婚届じゃないか? 縁結びの神たるもの……」
「あら、縁切りも得意なのよ? まぁ、見ていなさい」

やがて雲が晴れ、国に日が射した。

「どういう訳だ?」
「太陽と雲が結婚しちゃってたの。出し抜いてやったわ、雲をね」
「おー」

それ以来、この神社は『出雲大社』と呼ばれている。かつて離婚届が揃えられていた事はあまり知られていない。
その他
公開:18/10/28 23:55
離婚届を揃えている出雲大社 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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