先輩のメガネ

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ここ数年で変わったものはいくつかある。そして、これから変わっていくものも。

「それ、いつまでかけてるんですか?」
「んー、いつまでもかな」

先輩は右手の指を揃えて慣れた仕草でメガネの位置を調節する。

「さっさと視力矯正すればいいのに」
「そりゃあ、そうすればメガネはいらなくなるけどさ。何でもかんでも便利にしちゃうのはもったいないよ」

もったいない?
なんのことを言っているんだろう。
疑問に持ちながら、思いつきで先輩の顔からメガネを引き抜く。軽く覗き込めば分厚いレンズを通してさらに2つの世界が見える。

「先輩にとってメガネのない世界ってどんなですか?」
「曖昧な光が暖かい世界だよ」

返して、という先輩にメガネを渡す。
レーザー治療はもう古い。薬一つで視力が治る時代。治療費だって保険が聞くからそこまで高くない。今の時代、先輩の言う暖かい世界を共有できる人はどのくらいいるのだろうか。
ファンタジー
公開:18/10/28 23:16

ふみ はじめ

最近とても困っていることはハンバーガーを上手に食べることができない事です。

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