おでこに、目が。

僕は、曲がり角を曲がって、ふと妙な世界に迷い込んだ。
それは、ほんの少しだけ「詳しい」世界。　たとえば、こんな感じ。

街角の、ある会社の看板を見上げると、「田中金属 　（小さな文字で）明るく元気な会社」と書かれていた。
道路にある、バスの停留所には、「○○バス　時間に正確なバス」の文字。
向こうの交通標識には、「名古屋まで 100Km。 まだ少し遠いけれど」と、書かれている。

街中、全部がこの調子。一見、ゆるいんだけど、社会がキチンと作られている上に、プラスして、ゆるい。
だから、全体にちょっと、うっとうしい。

僕はブラブラと歩き続けた。夢か、うつつか…。
この「ちょっと詳しい」世界。ちょっと情報が多い世界。ここに住んでいる人は…。

僕は、向こうから来る人の顔を見て、ビックリした。
情報を処理する力を、高くするため？
おでこにも、目がついていた。「三つ目人」の街だったのだ。