雪降る夜に

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分かった。分かった。それならお前にはお金を出してやる。一日、一万円で良いだろう。
本当か。でも、夜は寒いし、きつい仕事だしなぁ。
ええい、それなら、一日、三万円。これ以上はびた一文たりともださん。
毎度あり。
ただし、冬季だけだ。衣装は今あるワシの衣装を使え。訪問する家の地図は後で紙に印刷して渡してやる。怠けるなよ。この仕事はあくまでも神事だと言う事を肝に免じておけ。単純に子供達の怠け癖、甘え癖を無くそうなんて慈善事業ではなく、五穀豊穣を祈る神事なのだ。
はいはい、分かった分かった。俺はお金さえ貰えるなら理由はどうでもいいよ。

猛の意識は極寒の現実に戻ってきた。
正直、後悔していた。
あ~、親父に騙された。てっきり、近くの地区だけ回れば終わりだと思っていたのに山を一つ越えた集落まで請け負っていたなんて。
猛は、ぶつくさ独り言を言った。
そんな彼の頭の中では熱々のきりたんぽ鍋が浮かんでいた
公開:18/10/27 16:18

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