雪降る夜に

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それは雪がしんしんと降る寒い夜の事です。
一人の男が雪の道をギュッ、ギュッと靴音を鳴らし、遠くに見える山小屋の方へ向かい歩いておりました。空からは白い粉雪がまるで生きて踊っているかのようにふわりふわりと宙を舞っています。天気予報では明日から吹雪だそうです。だからこそ、男は早く目的の家に着きたかったのです。よく見るとその男の出で立ちは一風変わっています。顔には仮面を被り、手には大きな鉈を持っています。この男はあの家に強盗に入るつもりなのでしょうか。いいえ、どうやら違うようです。この男はあの有名ななまはげでした。
先日、父親が言いました。
ワシも良い齢だ。この仕事を続ける事は出来ん。そろそろ、引退しようと思う。だが、心残りがある。それはこの仕事の担い手がいない事だ。大昔から続いて来た伝統文化をワシの代で途絶えさせてしまうのは忍びない。そこでだ、猛、ワシのこの仕事を引き継いでもらえないだろうか。
公開:18/10/27 15:22

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