紅葉キャンプ

「明日、パパは一緒に行けないの」
僕たちは愕然とした。楽しみにしていたキャンプは遠出のショッピングに変更されてしまった。
「いやだ、みんなで花火がしたい」
妹も半ベソをかいた。これはお兄ちゃんの僕がどうにかしなきゃ。
「お兄ちゃんに任せろ」
材料はありったけの紅葉。ほんの少しの水。僕は白いキャンパスに丁寧に貼り付けていく。あえてメッセージ性はぼかす。パパは天才だからこれくらい紐解けるさ。見ていた妹も加わって、ペタペタ一緒に貼り付ける。ママはお菓子とお茶を持ってきた。
「そこ置いといて」
額の汗を拭き、息つく暇も惜しんで芸術を磨き上げる。僕たちの情熱が伝わりますように。
次の日、パパは接待用のゴルフを持って目を丸くしてた。そりゃあね、白い車が赤い紅葉で飾り付けられてるんだから。紅葉狩り、魚釣り、花火、テントでお化けごっこ。パパの子どもの頃の遊びを僕らにも教えてよ。
パパは苦笑いを堪えていた。