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僕はカフェテリアにいた。大勢の人間達が小腸のように連なっていた。
トレイに、ゆで卵、肉の塊、サラダ、ハンバーグ、うどん、カツレツ、牛乳、寒天、たらこ、などをのせ続けたが、のせるそばから、床に落ちた。トレイを這う無数の沢蟹が、皿を押し出すからだ。僕は紺色の海水パンツをはいていて、裸足だった。その足裏が、沢蟹がぶちまけた料理と、料理と共に落下した沢蟹と、誰かが落としたイクラのつぶつぶを、執拗に踏み潰していた。
僕は並び直して、先ほどと全く同じ料理をトレイにのせ、沢蟹よりも早く、沢蟹もろとも、床へたたきつけてやった。波の音が聞こえた。
傾いだトレイに誰かの牙が映った。僕は恐ろしくなり、トレイに貼り付いていた一切れのサニーサイドアップを、そっとつまんだのだが、黄味は呆気なく破れて僕の指を汚した。僕はとてつもない羞恥を感じ、海パンの後ろに指先を幾度もこすりつけたが、ぬめりは全然取れなかった。
トレイに、ゆで卵、肉の塊、サラダ、ハンバーグ、うどん、カツレツ、牛乳、寒天、たらこ、などをのせ続けたが、のせるそばから、床に落ちた。トレイを這う無数の沢蟹が、皿を押し出すからだ。僕は紺色の海水パンツをはいていて、裸足だった。その足裏が、沢蟹がぶちまけた料理と、料理と共に落下した沢蟹と、誰かが落としたイクラのつぶつぶを、執拗に踏み潰していた。
僕は並び直して、先ほどと全く同じ料理をトレイにのせ、沢蟹よりも早く、沢蟹もろとも、床へたたきつけてやった。波の音が聞こえた。
傾いだトレイに誰かの牙が映った。僕は恐ろしくなり、トレイに貼り付いていた一切れのサニーサイドアップを、そっとつまんだのだが、黄味は呆気なく破れて僕の指を汚した。僕はとてつもない羞恥を感じ、海パンの後ろに指先を幾度もこすりつけたが、ぬめりは全然取れなかった。
青春
公開:18/10/25 13:28
更新:18/10/25 14:05
更新:18/10/25 14:05
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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