幻想動物見聞録・嘉人の場合

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夜中に目覚めると、黒い人がこっちを見ていました。厳密に言うと、私の隣の妹の顔を覗き込んでいました。目は夜でも爛々と輝く猫のようでしたが、私には鳩のような目の、怒ったみたいな表情の大人の鳥人間に見えました。そして、妹の口にずぶりと入りこみ、また出て行きました。私は怖くて黙ってました。
妹は寡黙でした。家族にさえ一言のみ。変な子でした。祖母が「出て行け!」といじめるので、毎日母と祖母の喧嘩でした。妹は無言で、怒ったような顔をして見るばかり。
二十歳になると両親も見放してましたが、今度は祖母が妹を面倒見始めたんです。
「さよは悪くない」と味方でした。
ある夜、妹が悲鳴をあげました。声と一緒に、黒い物を吐き出し続けました。魚の目をした大量の黒い雛です。わあわあ泣きながら、喋れない苦しみを吐き出してました。
今では人が変わり、困った人を助けるまでになりました。
先生、あれってなんだったんでしょうか。
その他
公開:18/10/25 12:54
更新:18/10/27 00:55
書類名『心食鳥」 私の中の緘黙 幻想動物見聞録

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
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写真は全て自前でやっています(笑)

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