路傍の人

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路上で寝ている人がいる。雨の日も風の日も、その体を晒して横たわっていた。
「何故ここに?」
私の傘の下で、路傍の人は答えた。
「人の音が落ち着くんだ。足音や笑い声、車の音。それから雨。風、草の香り。たまに泥もかぶるけど、これくらいの距離感が丁度いいんだ。僕は人と生きていくには弱すぎた」
体の半分潰されて、それでも誰かを見つめる路傍の人。顧みられることがない、慣れっこじまいの死んだ人。
「うちに来ます?」
「え、でも、内臓出てるよ」
「それぐらいが丁度いいんじゃありませんか」
「お家の人に怒られないかい?」
「見えないのだから丁度いい」
寝っ転がっているだけなら猫でもできる。なら、うちの子になりなさいと私は誘った。
彼は困ったような、少し納得できないような顔で、それでも最後は頷いた。
「でも猫ほど動けないから、多肉サボテンぐらいに我慢してね」
願ったり叶ったりな話だ。世話が楽で丁度いい。
青春
公開:18/10/25 12:00
更新:18/10/27 00:46
夢日記 実際の夢では怒られました

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
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