星を獲る人

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汽車で相席になった彼は、とても美味しそうに金平糖を口に運んでいた。人差し指と親指に挟まれた小さな砂糖菓子がまるで星屑のように煌めき、流れ星に似た音を立てて噛み砕かれる。その色合いは自然色でいて蓄光塗料のように輝きを放ち、確かな存在感があった。
「貴方もいかがです?」
突然スポットライトを当てられたようにハッとした。その人は優しげに微笑んで私に金平糖を差し出した。
「さあどうぞ」
噛み砕くとシャリと煌めきが口に満ち、雪解け水のように喉を潤した。
「これはなんのお砂糖ですか?」
「銀河ですよ、みんなたべてるじゃないですか」
どれ、と彼は車窓を開け、星空を手で払った。流れ去るはずの星たちが、彼の手に囚われて輝いている。
「この辺は澄んでいて、そのままでも十分商品になるのです」
ゴツゴツした彼の手の中に、華奢な流れ星が幾つか明滅していた。
「こちらもおあがりなさい」
ありがとう、と私は答えた。
ファンタジー
公開:18/10/25 10:07
更新:18/10/27 00:16
銀河鉄道オマージュ 『鳥を獲る人』より

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
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