特別な一皿

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一枚の絵がある。題名は「最後の晩餐」。ただし、そこに描かれているのは豪華な料理でも、パンと葡萄酒でもない。縁の欠けた一枚の白皿。その上に青い丸がのっていた。
学芸員が言った。
「作者の遺作です。題名は『最後の晩餐』ですが、皿の上にのっているのは青い絵の具です。夭折した作者は、存命中は評価されず、生活は困窮し、日々の食事にも困っていました。作者は食うに困っても、病気になっても最後まで描くのをやめませんでした。生活費は画材につぎ込み、縁の欠けた食器をパレットに絵を描き続けたのです。
皆さまは最後の晩餐と聞くとどんな物を思い浮かべますか。多くの人がその人の特別な一皿を思うでしょう。作者にとってそれは描き続ける為に必要な絵の具でした」
私は考える。作者が死に際に欲したのは絵の具だけではなく、描き続ける余力だったと。生活を犠牲にしてまで描き続けた作者の魂は、青い塊となって皿の上に絞り出されたのだと。
青春
公開:18/10/25 01:56
月の文学館 特別な一皿

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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