ホワイトハウスに花束を~フラワーネットワーク④
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「あ、パパ」
5歳程か、小さな女の子がブリキ缶を指して笑った。
つられて唇をほころばせ、隣に屈む。
短い指先に、花に添えたPOP。……パパ?首をひねる。
「こら、愛。勝手に行くな」
高い影が、甘くとがめて膝を折った。
「娘が失礼を」
「とんでもない。ようこそ『花霞』へ」
「ほら、パパ!」
ミルク色の声に、低い吐息が微笑う。
「リュウカデンドロン。ラテン語で『白い木』か」
「詳しいですね。奥様がお好きで?」
はにかむ頬にえくぼ。二色の会話をBGMに、椅子に掛け、ゆっくり作る。
「カサブランカ。スペイン語で『白い家』です」
「妻が喜びます。うちの壁と同じ色だ。……どうぞ貴女も、お身体を大切に」
二つの白の花束を手に、大小の影が路地を過ぎて行った。
「ただいま、舞。嬉しそうだな」
「今日、同じ名前のお客様が」
「清流(せいりゅう)?そりゃ珍しい」
「もう一人の方。……ね、粒(りゅう)ちゃん」
5歳程か、小さな女の子がブリキ缶を指して笑った。
つられて唇をほころばせ、隣に屈む。
短い指先に、花に添えたPOP。……パパ?首をひねる。
「こら、愛。勝手に行くな」
高い影が、甘くとがめて膝を折った。
「娘が失礼を」
「とんでもない。ようこそ『花霞』へ」
「ほら、パパ!」
ミルク色の声に、低い吐息が微笑う。
「リュウカデンドロン。ラテン語で『白い木』か」
「詳しいですね。奥様がお好きで?」
はにかむ頬にえくぼ。二色の会話をBGMに、椅子に掛け、ゆっくり作る。
「カサブランカ。スペイン語で『白い家』です」
「妻が喜びます。うちの壁と同じ色だ。……どうぞ貴女も、お身体を大切に」
二つの白の花束を手に、大小の影が路地を過ぎて行った。
「ただいま、舞。嬉しそうだな」
「今日、同じ名前のお客様が」
「清流(せいりゅう)?そりゃ珍しい」
「もう一人の方。……ね、粒(りゅう)ちゃん」
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公開:18/10/24 23:57
更新:19/03/03 18:40
更新:19/03/03 18:40
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約束達成です、りゅうちゃん
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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