『再会』(月の文学館お題・交差点)

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ふわっ
ああ、あの懐かしい顔、背格好!
渋谷駅からヒカリエへの広い通路を歩いている時だった。
間違いない、翔くんだ!
談笑しながら歩くスーツ姿の男性3人組とすれ違った時に頼子は翔に気づいた。
今引き返せば、翔くんと会話できる。胸がドキドキする。しかし頼子は足を止めなかった。踵を返さなかった。家へ帰った時の夫の姿が頭に過ったからである。

翔は帰社する為に渋谷駅へ向かっている所、懐かしい空気をふと感じた気がした。
あれは何だったかな?とても昔に感じたなんだか大切な何かを思い出せそうな…
同僚の悠人に話を振られ懐かしい空気も飛んでいった。

「翔くん、ずっと一緒にいようね。」
「もちろん中学卒業しても高校卒業しても一緒だよ。」

遠い日の約束。
受験で徐々に会わなくなって中学の卒業式、インフルエンザで出席できずそのまま会わずじまい。ちゃんとお別れも出来なかった。
淡い思い出に胸がちくっとした。
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公開:18/10/24 18:39
月の音色 月の文学館

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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