さよなら地球

地球は青いが私の顔も青い。

私は転勤で月まで飛ばされた。
いわゆる左遷だ。ツキがない。
月での楽しみは、ドン・キホーテのショッピングだった。
来店すると店員が声をかけてきた。
「お客さんプライドポテトいかがです？」
「プライドポテト？」
店員は三日月にカットされた試食用のポテトフライをトレーに乗せ、勧めてきた。
「月を揚げてツキを上げる、ツキが上がれば仕事も上がる、仕事が上がればプライドも上がる。どう？お客さん」
そういえば月に来てから、プライドというものを失っていたな。
「よし！その月買った！」
夜、地球を眺めながら、ポテトを頬張り、ビールを飲む。脳内のドーパミンが泡の如く溢れてくるようだ。自信が漲りプライドを取り戻した気分。

その夢が覚めると、地球は遠ざかっていた。

『次は火星火星。お降りの方はボタンを押してください』

しまった！乗り過ごした‼︎

地球は青いが私の顔も青い。