オコノミー症候群

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「昨夜は食べ過ぎたから、少し運動でもするかな」
俺はエレベーターに乗ると、八階の建設業のボタンを押した。
今の時代は職業もその日の気分で選ぶ事ができた。事務作業がしたければ四階に、農業がしたければ七階にと、エレベーターのボタンを押すだけだ。
一定の職に就かず、フラフラと職階をさまよう俺たちみたいなものを称し「オコノミー族」なんて揶揄するおやじも多いが、同じ商売をずっとやっている方が異常なことは明らかだった。
チーン。
四階に止まった。
「おいッ、そっと運べ!」
さっそく頭の固いおやじが担架で運ばれてきた。
この世代は職種を変えずにひと所で頑張る癖があり、それが社会問題になっていた。名付けられた病名が「オコノミー暮らす症候群」。
新しい流れに適応せず息苦しい職環境に居続けた結果、脳の血管が突然破裂する症状だ。
「うー、まだ仕事の残りが⋯⋯」

今の時代、仕事はお好みで選ぶのが正解だよね──。
SF
公開:18/10/25 16:20
更新:18/10/29 11:48
働きたい会社

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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