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ワダツミ-ワタツミは綿津見、和田津見、渡津見など色々な表記がある。最も分かりやすい表記は海神であろう。ワダツミは海の神を差す、古来から日本にある言葉である。

2016年のある日、放浪癖のある女は、離島へ移住した。そこで女は行者と出会った。女は行者に、この放浪したい気持ちはどこから湧き出るのかと問うた。行者はそれは、あなたがワダツミの地に生まれたからだと言った。

行者は伝えた。

大陸にいた古代の人々は、日々の暮らしを受け継ぎ、紡いできた。しかしその中で、決まった日常に飽き、海の向こうの世界に憧れる者達もいた。

ある日、その者達はその好奇心ゆえ、海を渡ることを選んだ。

果てのないような旅で、たどり着く前に亡くなった者の数は知れない。幾度目かの死者の後、同じ志を持つ者達が、未踏の島にたどり着いた。

その者達はそこで新たな暮らしを始める。彼らこそがワダツミである。
公開:18/10/19 19:00
更新:18/10/26 18:03

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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