4
7
「君はいつ来たのか」
突然の質問に彼は戸惑った。「答えろ」と罵声が飛ぶ。
「三年前です」
「職業は」
「何もしていません。あのこれは一体何の診断なのでしょうか」
「聞かれた事に答えれば良いのだ」と雛壇の五段目から声が飛ぶ。
「職人の家系だな。何故、継承しない」
「私には無理でした。家に居ても役に立たないので、この街に来ました」
「家で役に立たない奴が、ここで何の役に立つというんだ」と、四段目の誰かが叫ぶ。
「身体に問題はありませんが、思想的に…」と三段目の男。
「職につかないのは、現体制への批判です」と二段目が言う。
「違います、私は何もしていない。ただ、宿の女主人に…」
彼はそう叫んで、唐突に理解した。そうか、あの女主人が私を…
「診断を下す。直ちに療養所へ送るよう」
最上段の医師が重々しく宣言し、ランプが一斉に消えた。彼は暗闇に両脇を挟まれ、昇降機の方へ引き摺られていった。
突然の質問に彼は戸惑った。「答えろ」と罵声が飛ぶ。
「三年前です」
「職業は」
「何もしていません。あのこれは一体何の診断なのでしょうか」
「聞かれた事に答えれば良いのだ」と雛壇の五段目から声が飛ぶ。
「職人の家系だな。何故、継承しない」
「私には無理でした。家に居ても役に立たないので、この街に来ました」
「家で役に立たない奴が、ここで何の役に立つというんだ」と、四段目の誰かが叫ぶ。
「身体に問題はありませんが、思想的に…」と三段目の男。
「職につかないのは、現体制への批判です」と二段目が言う。
「違います、私は何もしていない。ただ、宿の女主人に…」
彼はそう叫んで、唐突に理解した。そうか、あの女主人が私を…
「診断を下す。直ちに療養所へ送るよう」
最上段の医師が重々しく宣言し、ランプが一斉に消えた。彼は暗闇に両脇を挟まれ、昇降機の方へ引き摺られていった。
その他
公開:18/10/22 15:36
更新:18/10/22 15:37
更新:18/10/22 15:37
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
ログインするとコメントを投稿できます