東京環状 山形線

13
13

駅のホームで電車が近づく気配を感じていると、後方からスーツの男が僕の横を通り過ぎ、線路めがけてジャンプした。
空中で電車と接触する瞬間、電車は口をあけて、男を飲み込んだ。

次に、走り続ける電車の扉が開き、女性がホームに向かってジャンプした。着地と同時に横に倒れるかと思いきや、見事な側転を決めて歩き去った。

電車は過ぎ去った。

僕は、次の乗車タイミングを狙うことにした。
山形線では、せっかちな現代人のために、止まることなく走り続け、乗車と降車のタイミングを乗客に任せている。

僕は次にきた電車に飛び乗った。
ゴロゴロと車内を転がり、足を椅子にぶつけた。
足を擦りながら立ち上がると、乗客が僕を見て笑っていた。

問題は降りるタイミングだ。
事前に扉を開け、目的地に近づいたところで、電車から飛び降りた。

ふと、横からの気配に気付いた瞬間、僕は並走していた、京浜東南線に飲み込まれた。
ファンタジー
公開:18/10/22 15:08

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容