怨み電波節

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この世に生きる者ならば 怨みを売買せにゃならぬ

「寝て醒めて 食べて出す間に 怨み買い」

相手は逃げる地の果てまでも 追いかけ回して追い詰めて
己が命の限りを尽くし 復讐のみに全てを捧げ 髪真っ白だよ白髪鬼

「復讐で、幸せになれますか?」
「復讐しないで幸せになれるのかね?」

鼻から理由は知らねども そんな怨みに固まって 復讐するは白髪鬼 怨み買わずに生きるのが 所詮叶わぬこの世なら 怨みを晴らす側になり あらん限りの知恵絞り 相手の破滅を生き甲斐に 晴らす怨みを太らせて 復讐の火に薪くべて 命をかけて地を駆ける

怨むに足りる相手がいれば 生きる甲斐ある世の中ぞ
受けた怨みを怨んで怨み 晴らした怨みにまた怨まれて
回る因果の怨み節

復讐するは白髪鬼 四畳一間に病み臥して 本望だったか怨み節 道の半ばに衰弱死

怨みを形見に この世を去った
生きた証の怨み節
拾うあなたの怨み節
その他
公開:18/10/22 10:31

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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