カモミールティーを一杯~フラワーネットワーク③
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「もう外が暗いわ、舞ちゃん」
閉店間際、延々続く常連さんの愚痴に、軽く爪を立てる。
「だって、うららさん……」
先日うちの店『s'』(=微笑の意味)が作った花束で、彼女は恋人と喧嘩した。
「確かに、赤バラ108本は多いけど」
舞ちゃんの恋人の秋月君は、隣町の『花霞』の店主。私の友人でもある。
「一世一代のプロポーズよ。自分の店だとばれるって、わざわざうちに頼んで。届けた美咲君(※男性)もしょげてたわ」
カップの縁でぐずる指。彼女も折れるきっかけが掴めないのだ。
「あと一杯飲んだら帰るのよ」
コポコポ…ポットのお茶が香る。ふわり上った湯気が、揺れた。
「僕にもくれ」
振り向く肩が震える。
受話器を置いた美咲君がウィンクする。
「私達からお祝い。三杯目は二人で育てて」
さらり、小さな袋に種の音。
繋いで帰った指に、程なく誓いの絆が輝くだろう。
カモミールの花言葉:逆境に生まれる力・仲直り
閉店間際、延々続く常連さんの愚痴に、軽く爪を立てる。
「だって、うららさん……」
先日うちの店『s'』(=微笑の意味)が作った花束で、彼女は恋人と喧嘩した。
「確かに、赤バラ108本は多いけど」
舞ちゃんの恋人の秋月君は、隣町の『花霞』の店主。私の友人でもある。
「一世一代のプロポーズよ。自分の店だとばれるって、わざわざうちに頼んで。届けた美咲君(※男性)もしょげてたわ」
カップの縁でぐずる指。彼女も折れるきっかけが掴めないのだ。
「あと一杯飲んだら帰るのよ」
コポコポ…ポットのお茶が香る。ふわり上った湯気が、揺れた。
「僕にもくれ」
振り向く肩が震える。
受話器を置いた美咲君がウィンクする。
「私達からお祝い。三杯目は二人で育てて」
さらり、小さな袋に種の音。
繋いで帰った指に、程なく誓いの絆が輝くだろう。
カモミールの花言葉:逆境に生まれる力・仲直り
青春
公開:18/10/23 22:10
更新:19/03/03 18:39
更新:19/03/03 18:39
※花言葉には諸説あります。
本当の愛ってなんだろう 救済版
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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