(株)ヒテー

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彼女の指が私の鼻に入っている。
やめてほしいと言えないのは、これが入社試験の真っ最中だからで、この指で私を試しているのかも知れないと思うと、どうすればいいか迷ってしまう。
人としての正解はわかる。やめてほしいと言えばいい。でも、試されているのなら、他の人とは違う反応をみせて競争に勝ちたいと思う。
どうすれば目の前の社長と呼ばれる彼女をぎゃふんと言わせて、かつ、やるじゃないかと思わせることができるのだろう。
株式会社否定。
一風変わった遊園地を運営している今注目の会社だ。
まずは社長を否定しろということだろうか。
何も言えずに追いつめられた私は、とっさに自分の指を社長の鼻に入れた。
互いの鼻に指を入れあったまま、どうにもならない時間を私たちは過ごした。
私の生い立ちと経歴がスクリーンに流される。
子育てを終えての中途採用。
私は自分の世界が揺さぶられるような会社で働きたかった。
ここなら。
公開:18/10/23 13:53
更新:18/10/29 10:10

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