早朝のセロリ畑

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 セロリの匂いに満ちた黎明の道。カーナビには無い広大なセロリ畑。だが、ライトが照らす畑に、セロリは一本も見えない…
 一瞬の放心。僕は畑に突っ込み、スプリンクラー数台をなぎ倒してしまった。
 外に出ようとしたが、強烈なセロリの匂いに驚いてドアを閉めた。
 「圏外」の表示を呆然と見ていると、サイレンを鳴らした車列がやってきて、ガスマスクを装備した連中に取り囲まれた。
「侵入は故意か?」僕は首を大きく横に振る。
 車ごと吊り上げられ、薄緑色の液体をジャージャーかけられる。
「窓を少し開けろ!」車内にも、その液体が噴霧された。セロリの匂い…
「来る!」
 畑を包囲していた兵士が叫ぶ。
 マスクをいじっていた兵士がいきなり倒れた。口からは、巨大な…パセリ?
 動揺が走る。
 土が盛り上がり、数人の兵士が吹っ飛ぶ。噴霧されるセロリエキス。
 僕は肺にかすかな違和感を感じながら、その光景を眺めている。
SF
公開:18/10/23 10:17
更新:18/10/23 13:07

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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