事務椅子のヘコッからレミオロメンの粉雪(ある死亡遊戯)

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 追う者の怒号、逃走者の悲鳴。階段の先にある次の部屋は、内装工事中の広大なワンルームオフィス。
 最初に駆け込んだ男が、瞬時に炭に! 押し寄せる逃走者と追っ手。見渡すと、事務椅子がズラリ。俺は事務椅子に飛び乗った。
 スーっと… あまり進まない。続々と椅子に飛び乗る逃走者と追っ手。乗り損ねてジュッ。追っ手に捕まってギャー!
 俺は、両肘を直角に曲げ、手首が耳につくまで上げて、「YES!」と振り下ろして反動を得る方法に開眼する。
 一回の「Yes!」で「ヘコッ」っと十数センチ。だがヘコッの後、コヘッと数センチ戻ってしまう。みんなで、ヘコッツ(コヘッ)ヘコッヘコッ(コヘッ)ジュッ、ギャーッ。
 さあ、先頭で次の階へ。個室がズラリ。カラオケルームだ。
 前奏が始まる。80点以上出さないと、ソファーでスリープ状態の追っ手が目を覚ますと…

「それでは、聞いてくださいっ レミオロメンで粉雪っ!」
その他
公開:18/10/21 09:23

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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