鳥と魚

空の高さを君は知らないだろう。
海の深さを貴方は知らないでしょう。
　
太陽の暖かさが君には解らないね。
水流の涼しさも貴方には解らないわ。

地上の光のいかに輝かしいことか。
海底の闇のいかに心安らぐことか。

飛べる翼(つばさ)が君にあれば良かったな。
泳げる鰭(ひれ)が貴方にないのが悪いのよ。

君さえ陸に上がって生きられたら。
貴方さえ水に潜(もぐ)って生きられたら。

どんなにか、たくさんのことを分かち合えるのに……


君に教えられる空は狭(せま)いかもしれないが、
貴方に伝わる海も浅いでしょうけれど、

限られた時間と、ささやかな繋(つな)がりが拡(ひろ)げゆく世界は、
限りなく永遠で、果てしなく素晴らしいに違いない。