メルヘン支部

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お菓子の家でホットケーキランチ。バターと蜂蜜が食欲をそそり、チョコレートミルクが胃袋を温める。
「もう一枚いかがですか?」
木のテーブルを挟んで座るクマ支部長が言った。
テラスには陽の光と、小鳥のさえずり。
「もうお腹いっぱいです」
「そうですか。あまり食べ過ぎると私みたいになりますからね」
支部長は見事な太鼓腹を毛むくじゃらの手でさすり大声で笑った。

部下に度を越した暴言を吐いてばかりいた俺は、このメルヘン支部に出向になった。
要は左遷だろうと最初は納得できずにいたが、クマ支部長やバイトのリス君らと穏やかな日々を過ごすうちに俺の心は優しさを取り戻し、相手の気持ちを考えていなかった自分を恥ずかしく思った。

半年が過ぎた頃、本社の人事部長に呼ばれた。
「メルヘン支部での評判を聞いたよ。そこで、君には我が社を背負うスケールの大きな人間になってもらいたい」
次の出向先は、宇宙支部だ。
ファンタジー
公開:18/10/21 22:52

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