121. どちらも縁には違いない

　島根県に有る長い歴史を誇る出雲大社は、縁結びの神様として日本を代表する神社だ。

　そのご利益にあやかりたいと、世界中の独身者が老若男女問わず毎日途絶えることなく参拝に訪れている。

　しかし昨今、ご利益の甲斐あって良縁に恵まれ結婚しても数年で離婚してしまうケースも増え、この神社のせいだと理不尽なクレームが入るようになった。

　宮司や巫女たちは思案の末、縁結び守り、絵馬、恋みくじの他に『婚姻届』と『離婚届』のどちらもを一緒に窓口で取り扱うようになった。
そして小さい『破魔矢』を無料で配布することにした。

　離縁を願っている人たちに、今の縁を少しでも早く断ち切って、次の良縁に巡り会うように──。