緑色の肌

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「わたしは人間だし、あなたの妻です」
と、その緑色の肌をした三つ目の生物は言った。

「いやいや。俺、まだ結婚してねえし。てか、あんた宇宙人だよね!?」
「それは何度も言うように、頭を強く打ってあなたの記憶が⋯⋯」
ウソだ。この部屋は独身男性の独り暮らしにしか見えないし、俺の記憶が途切れた日もない。
そう言って問いつめると、その生物はしくしくと泣き出した。
仕方がないので、彼女と同棲生活を始めた。が、実際に付き合ってみると、家事はよくこなすし料理もうまい。違和感を感じた容姿も、今ではとても魅力的に思うのだ。
そのうち赤ちゃんも生まれた。やはり肌の色は緑だし、目玉は三つあったけど⋯⋯可愛い俺の子だ。

ある日、警察官がやってきた。
「つかぬ事を訊ねますが、こちらで宇宙人を見たと言う情報があったのですが」
「この家には家族しか居りません」
俺はドアを閉じ、優しい妻子の待つ部屋へと向かった──。
SF
公開:18/10/19 14:25
更新:18/10/19 15:15

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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