かけるくんの野望～続・かぞくにかんぱい④

「や～、弱いな」
俺、円掛（つぶらかける）は唸った。
うちの父、三角（みかど）の悪ふざけで、我が家の玄関には、名前か記号か不明な表札が掛かっていた。
『〇　△〇Ｘ□◎？（つぶら　みかど/まどか/かける/かこい/かさね/かしげ）』
弟の囲（かこい）は独立。妹の重（かさね）は結婚。末の傾（かしげ）は大学の寮。『か族』も『〇　△〇Ｘ』に縮小した。
愉快な家系図倍増を目論んだが、愉快過ぎて散々蹴られ、三十路も半ば。
「＊（きらら）！（あつ）＆（むすび）……オチが弱い」
結婚はパズルじゃない。画像を横目に自主突っ込み。
名前の幅も随分増えたが、俺の丸眼鏡に適うのが……
「あった！」
良い。一人娘だけどこの際だ。
鼻息荒くメールを立ち上げ、俺は猛然とキーを叩いた。

……数年後、俺は婿養子に入った。円家は傾に託す。
『〆　掛　等分　折（しめの　かける/ならび/たたみ）』
これにて『ＸＹＺ（おしまい）』