かさねちゃんの決断～続・かぞくにかんぱい②

「も～、嫌！！」
私、円重（つぶらかさね）は叫んだ。
うちの父、三角（みかど）の悪ふざけで、我が円家の玄関には、名前か記号か不明な表札が掛かっていた。
『〇　△〇Ｘ□◎？（つぶら　みかど/まどか/かける/かこい/かさね/かしげ）』
まったく、近所のいい笑いものだ。
母、円（まどか）の実家も類似で、親戚にはウケたが、下手すると手紙もこれで届き、郵便局員を泣かせる事数十回。宅急便にキレられ、新聞配達は早朝４時に大爆笑。学校でも全校の話題を、末の妹、傾（かしげ）の卒業まで席巻した。

早々に結婚し、家系『図』から脱出する！
並々ならぬ意気込みで婚活を始めた私は、ネットで出会った『みさき』さんと、高校卒業と同時に結婚。めでたく円の縁を断ち切った。
……はずが。

「も～、嫌！！」
なぜこうなったのか。
図形の呪いが変形、ぐるぐる巻きの蜘蛛の糸。

『一　二重三重　（もとい　みさき/かさね/みえ）』