Death Star

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 表面を覆う黒いパネルを割る。母艦からアームを操作する男は、横でモニターを見つめる子供の質問に答えながら、アームをパネルの下方へ伸ばす。
「この星のどこがSun Starなの。まるで黒飴じゃないか」
 男はパネル下部の骨組みを巧みに避けながら、アームに粘着液を充填する。
「みんな太陽が好きだったのさ。でも、本当は電気が好きだったんだよ」
「電気って?」
「この星のあらゆるものにとってのエネルギー源さ。でも、住人自身のエネルギーにはならないんだ」
「へんなの。食べられないものが大好きだなんて」
「そうだね。でも、彼らはもう一つ、お金、というものも大事にしていたんだ。これは電気よりも不思議で、なんのエネルギーにもならないんだ」
「へんな人たち」
 アームがパネル下の住居部に到達する。逃げ惑う住人をアームが絡めとっていく。
「おいしそう」
 子供が笑う。父親はますます張り切ってアームを操作する。
SF
公開:18/10/20 10:00

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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