新しい社長

｢本日から社長に就任したＫです。よろしくお願いします！」
本社から送られてきた新しい社長は、深々と頭を下げた。持ち点は100点だが、すでに頭上の数字は99になっていた。
受付嬢に減点されたな⋯⋯。

今度の社長は、まぁそれなりによく頑張った。
社員の意見には耳を貸してくれたし、注意はしても怒鳴ったりイライラすることもなく、いつもニコニコえびす顔で対応していた。
ここ最近１ヶ月保たない社長ばかりだったが、あと１日で持ち点がリセットされるところまで辿り着いた。
しかし、最後の最後で気が緩んだのか、彼は重大な間違いを犯した。
｢Ｓ子さん、お子さんは元気かね？」
30代のＳ子はまだ未婚だ。もはや手遅れ。社長採点ボタンにＳ子の手が伸びる。
カチッ！
社長の立っていた床に黒い穴が開き、彼は時空の彼方へと落ちていった。

｢本日から社長に就任したＹです⋯⋯」
今日もまた、新しい社長が送られてきた──。