逃すまじきスーパームーン

今日はスーパームーン。それも今世紀最大の超ウルトラスーパームーン。こんなスペシャルな夜を逃してなるものか。
なのに。
空には厚い雲。どこに月があるのかもわからない。今世紀最悪のスーパームーン。

でも、大丈夫。
私にはドン・キホーテで買った月がある。
月を持って外に出ると、フリスビーのように空めがけて投げる。いけー！
月はぐんぐん上っていき、分厚い雲にペタリと張り付いた。そして、微かに輝きだした。

「え、今のって何ですか？」通りかかった女の子が聞いてくる。
「ドンキで買った月よ。今日はスーパームーンでしょ。でも天気予報で曇りって言っていたから、念のため買っておいたの」
「わあ、わたしも買ってきます」
そう言って彼女も月を買ってきた。そして空に向かってフリスビー！

二つになった月は輝きを増し、本物のスーパームーンより大きく見える。
私達はそのパワーを体いっぱいに浴び、静かに願いを唱えた。