私の色

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この世の中はものすごいスピードで変化をしている。AIがなんでもする世の中になり職業という概念がなくなった。
私たちはまっしろな状態で日々を生きている。
朝起きてご飯を食べ夜になったら寝る。家の事もAIがやってくれる。穏やかで平和だ。変化も刺激も必要なかった。
私たちには色がない。この先も色がないまま大人になるのかもしれない。
この前隣町の男の子が発狂して街を出て行ったと聞いた。その行動がカッコいいと思った。

私は歌を歌いたかった。
ある日急に思い立って全力で走りながらでたらめに歌を歌った。好きなことをするのが楽しくて幸せだと気づき、知らない街に来ても走りながら歌い続けた。止められなかった。
次第に私は色に包まれ光の中を走っていた。
人は死んだら人工知能を埋め込まれAIになると言われている。
私はその日が来るまで走り続けようと思った。
遠くの方で男の子の歌う声が聞こえた気がした。
青春
公開:18/10/19 19:50

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