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僕の夜に誰かがいる。

その人は淡く光る巾着から何かを掴むと、僕の夜に撒いた。放たれた蛍のような光は数分間揺蕩い、次第に僕の夜へと溶けていく。

「それは何?」
「句点」

聞けば人々から使われなくなった句点だと言う。巾着の中では、砂のような無数の句点が光っていた。

「何故撒くの?」
「再利用さ。誰かにとっては不要でも、別の誰かは渇望してる」

答えのようで答えじゃない。
僕の欲しい答えは……

掴みどころのないやり取りの合間にも僕の夜に句点が灯る。その数分間、不思議となんだか眠たくなった。

「ねぇ、あっちは撒かないの?」

瞼を擦りながら僕は尋ねる。句点を撒く人は僕の夜の北側にしか句点を放たなかったから。

「あっちは必要な夜だ。私が終わりを灯すのは眠れない夜だけ。……あと一回分か」

灯す人がまた句点を撒く。
僕の夜に終わりが灯る。

終わりの光が尽きる頃、もうその人はいなかった。
公開:26/11/07 23:28
私は句点を諦めない

花笑みの旅人( 街灯の下 )

旅人なのでいたりいなかったりします

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